運動能力はいつ決まる!?
世の中には、運動が得意な人もいれば、運動が苦手な人もいます。運動はできるに越したことはないですよね。では、運動が得意・不得意といった“運動能力の良し悪し”はどのように決まるのでしょうか。
実は、ジュニアアスリートである“小学生の時期”が、この運動神経の良し悪しを決定するうえで、非常に重要な時期なのです。この時期のことを“ゴールデンエイジ”とも言い、小学生のこの時期には神経が発達しています。この神経が発達している間に、どれだけたくさんの運動を行うか、どれだけたくさんの動きを覚えることができるかが、とても重要になります。
小学生のこの時期は、さまざまな動きを即座に習得することができます。これは運動に限ったことではありません。
例えば、英会話もこの時期に始めると覚えが早かったりします。このように、さまざまな神経が構築されている小学生の時期に、さまざまな動きを行うことにより、それらの動きを短期間で習得することが可能になります。
さらに、この時期に覚えた動きは、大人になっても基本的に忘れることはありません。
例えば、小学生で覚えた自転車の乗り方は、大人になり、車やバイクでの生活によって自転車に乗らなくなっても、乗り方を忘れることなく、いつでも自転車に乗ることができますよね。しかしながら、神経の構築ができあがった高校生ぐらいになってから、新たな動きを覚えようとしても、ゴールデンエイジの時期よりも、相当多くの時間が必要となります。
このように、運動の得意・不得意は、小学生の時期にどれだけたくさんの運動をするか、どれだけたくさんの動きを覚えることができるかが鍵となります。
しかし、「即座に動きを覚える」と言っても、その早さには個人差があります。周りよりも少し覚えるのが遅いために、“運動が苦手”と思っている子も、今のこの時期に頑張ると、動きを覚えることができてきます。そして、その身に付けた動きは、大人になった時も身体が忘れずに覚えています。
苦手を克服するのもこの時期です。今はスポーツを楽しみながら、自分の運動能力を信じて、さまざまな動きに挑戦してほしいと思います。将来、スポーツで活躍している自分を思い浮かべながら。今の頑張りが、きっと、思い描いた“将来の自分”に近づく一歩となるはずです。
中塚英弥さん(なかつかひでや)
科学的なデータと知識を活かして、パフォーマンス向上をサポートする、アローズラボ研究員。