女性アスリートを婦人科医がサポート。
聖隷浜松病院
女性アスリートの多くが月経によるパフォーマンスの低下やコンディション不良を実感じている。しかしながら、男性指導者も多く、そういったデリケートな部分まで中々踏み込めず、多くの場合、選手個人に任せているのが現状だ。「月経は病ではない。なので、激しい痛みや苦しさがあっても、それが普通だと我慢して通常通りのトレーニングをしてしまう選手が多い」。そう話すのは、婦人科医の入駒麻希先生。思春期外来に来る患者さんを診察するなかで、女性アスリート支援の必要性を感じたことが今回の『思春期・女性スポーツ外来』開設のきっかけになったという。「今では、海外のトップアスリートがピルを使用して、大事な試合に合わせて月経の周期を調整することは一般的です。日本ではまだまだ浸透していませんが、思春期の学生が服用できるものもあり、ベストな状態で大会に臨むことができるようになりました。婦人科というと少し入りにくいイメージがありますが、婦人科だからこそ見えることはたくさんあります」と入駒先生は話す。
特に問題なのが、エネルギーの摂取量を消費量が大幅に上回るエネルギー不足だと入駒先生は話す。「エネルギーが足りないと女性ホルモンの分泌が低下します。そうなると、無月経や骨密度の低下を引き起こします。特に低体重の方に多く見られ、疲労骨折などを繰り返す方は注意が必要です。第二次性徴と言われる8歳から15歳が最も女性ホルモンが分泌される時期です。この時期にしっかりとホルモンの分泌を行い、体を作っておかないと、将来、骨粗鬆症になったり、不妊治療が必要だったりということにもなりかねません。保護者の方や指導者の方にも、そのことを知ってもらい、子供たちをしっかりとサポートしていってほしいと思います」
聖隷浜松病院が新たに始める『思春期・女性スポーツ外来』。同外来では、月経の痛みや量がひどい、周期が不規則、競技に影響がある、周期を移動させたいといった月経のケアから、体重が増えない、貧血気味、疲れやすい、眠れないといった摂取エネルギー不足によるコンディション不良の改善をサポート。婦人科医や管理栄養士、理学療法士がひとつのチームとなって、選手一人ひとりをしっかりと支えてくれる。
診療は、毎週水曜の午後。完全予約制のため電話での事前予約が必要。学校医やかかりつけ医の紹介状があればスムーズに受診できる。学生だけではなく、全ての女性アスリートが対象。
詳しくは聖隷浜松病院地域医療連絡室(JUNC)053- 474-8801