曳馬中学校を破り、
三ヶ日中学校が“悲願”の優勝。
浜松地区中体連新人戦軟式野球の部
春の全国大会への出場が懸かった『中体連新人戦』。
浜松地区大会の決勝戦は、二年連続で全国大会出場を目指す曳馬中学校と、三年ぶりの全国大会出場を目指す三ヶ日中学校との“名門対決”となった。
平成27年10月12日、はましんレクリエーションセンター野球場にて、『平成27年度浜松地区中学新人総合体育大会野球競技の部』の決勝戦が行われた。
この地区予選の上位14チームが西部大会へ進み、西部大会の上位3チームが県大会へ。そしてその県大会で一勝すると、『春季全日本少年軟式野球大会』への出場が決まる大きな大会だ。
決勝戦のカードは、曳馬中学校対三ヶ日中学校。曳馬中学校は昨年、この大会の県大会で優勝し全国大会へ進んだ。一方の三ヶ日中学校は4年前にこの大会の県大会で優勝し、全国大会へ出場。“名門対決”と言っても過言ではない決勝戦となった。
曳馬中はここまで、安定した投手力と圧倒的な守備力で“わずか”1失点しただけで勝ち上がってきた。一方の三ヶ日中は、相手に先制を許す試合が多かったものの、“ビッグイニング”を作り出し、危なげなく決勝戦へと駒を進めた。
試合は曳馬中の攻撃でプレイボール。先制点を与えたくない三ヶ日中だが初回、四球やエラーなどを発端に2点を先制された。ここまでの4試合でわずか1失点の曳馬中相手に、この2点は非常に“重い”。案の定、三ヶ日中はこれといったチャンスを作れないまま3イニングが終わり、0対2で曳馬中がリードしたまま試合は中盤へ。4回の表、曳馬中は四球を足掛かりにチャンスを作るが、三ヶ日中守備陣が踏ん張り無失点で攻撃へと移る。4回裏、曳馬中エースの制球の乱れに乗じてチャンスを作ると、バッテリーエラーやタイムリーヒットなどで一挙4点を奪い逆転に成功。4回が終わって4対2と三ヶ日中がリードを奪った。
曳馬中は毎回先頭打者が出塁するものの、三ヶ日中の粘りの前に、初回以降0点に抑えられてきたが6回、遂にチャンスをモノにする。先頭打者が死球で出塁すると、ワンアウト後、左中間へのツーベースヒットが飛び出し1点差に。四球後の送りバントを一塁手が後逸し、この間にランナーが生還。4対4の同点となり、最終回の攻防に入った。曳馬中の攻撃を抑え迎えた三ヶ日中の攻撃。先頭打者がツーベースヒットで出塁。サヨナラのチャンスを作り出す。しかしながら曳馬中の手堅い守備の前にランナーを3塁に進められないままツーアウトに。次の打者の打球は力無くショート正面に転がる。丁寧にさばきファーストへ丁寧に送るが…。ゴロとなった送球をファーストが捕れずボールはフェンスへ。その間に2塁ランナーがホームを駆け抜け、劇的なサヨナラで三ヶ日中が優勝を果たした。
試合後、三ヶ日中の多くの選手、父兄、そして先生が涙していた。三ヶ日町という土地柄、“野球”は地域の“アイコン”であり、“誇り”でもある。だがここ数年、全くと言っていいほど結果が出なかった。地域の人たちからの期待が大きい分、結果が伴わなかった時の反動も大きい。そんな大きな大きなプレッシャーの中、優勝をもぎ取った。「たかが地区大会の優勝でそんなに…」と言う人がいるかもしれない。だが彼らは「どうしても優勝したかった」のだ。閉会式の総評の中に、「君たちの着ているそのユニフォームには歴史と伝統が詰まっている」という話しがあった。彼らが三ヶ日中でプレーしているのはわずか一年半。だが、約40年前から変わらぬそのユニフォームに詰まった歴史と伝統は、彼らの身体の中に間違いなく染みこんでいる。
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