眼は鍛えられる!!
『スポーツビジョン』と呼ばれる、スポーツの時に必要な眼の能力は、トレーニングすることで向上することが、多くの研究で報告されています。つまり、眼の能力を“鍛え”ることができるということです。
おそらく多くの方が、スポーツビジョンという言葉は知らなくても、『動体視力』という言葉は知っていると思います。さらに、その動体視力が、スポーツにおいて“重要な意味を持つ”ことも知っていると思います。しかしながら、動体視力を向上させるためのトレーニングをしている競技者は、多くないと思います。
プロ野球選手のスポーツビジョンを調査した結果では、入団後にスタメンなどで活躍している選手ほど、入団時にスポーツビジョンの成績が良かったことが報告されています。プロの選手を対象とした研究となるため、技術や体力に大きな差は見られない可能性があり、スポーツビジョンの能力に差が見られたことは、非常におもしろい研究結果です。
そんなわけで、日常生活の中でもできる、スポーツビジョンのトレーニング方法をいくつか紹介したいと思います。
まず、動体視力のトレーニング方法としましては、「電車や車の窓から外の景色を見る」というトレーニングがあります。早く流れる景色の中で、いかにはっきりと物が見えるか、というトレーニングです。外の景色は、近くにある物ほど速く動き、遠くにある物ほど遅く動きます。ご自身の見えるレベルに合わせて、見る対象を選択していただければと思います。まずは、電柱などに書いてある文字などを見ることから始めてみてはいかがでしょうか。
さらに、雑誌などでもトレーニングはできます。雑誌を瞬間的に開いて、一瞬だけ見てから閉じます。その時に、どこにどのような絵や写真があったかを答えるだけで、瞬間的に物を見る「瞬間視能力」を鍛えることができます。
また、スポーツビジョンソフトの「ViViT」であれば、「動体視力」、「眼球運動」、「周辺視」、「瞬間視」の つの項目を、お使いのパソコンで測定やトレーニングをすることができます。この「ViViT」は、昨年のプロバスケットボールリーグ(bjリーグ)で優勝した、浜松・東三河フェニックスもトレーニングに取り入れています。
身体を鍛えると同じように眼も鍛えることで、ライバルたちに差をつけていきましょう。
中塚英弥さん(なかつかひでや)
科学的なデータと知識を活かして、パフォーマンス向上をサポートする、アローズラボ研究員。