ピアサポートでの発見と成長

聖隷クリストファー中・高等学校

聖隷クリストファー中・高等学校

例年、入学したばかりの中学1年生を対象に、1泊2日でオリエンテーション合宿を行っています。今年度も、かわな野外活動センターにて、中学11期生53名対象のオリエンテーション合宿が行われました。
初日は、朝から土砂降り。レインコートを着て、傘をさして、更にレインコートを着てもまだなお濡れてしまうような天気の中、駐車場から野外活動センターの本館まで続く長く険しい坂道を、みんなで声をかけながら登りました。へこたれてしまう子が出てもおかしくないような天気でしたが、全員が歩きぬき、無事にセンターに到着。入所式にてセンターの方々より宿泊についての説明や、センター周辺の自然についてのお話をいただいてから、いよいよ研修を開始しました。

聖隷クリストファー中・高等学校

今年度のオリエンテーション合宿で、重点を置いたのは、53名がお互いに話をし、話を聞くことができる関係を作ること。人前で話をすることには、ある程度訓練や経験が必要なのは考えが及ぶところですが、実は、「話を聞く」のにも技術が必要であることは、忘れられがちで、訓練もあまりされていないように思います。会話を成立させるためには、話者が話をしやすいように、また話が広がり、盛り上がるためには、やはり聞いている側の態度も重要です。私達は、自分の「話を聞いて欲しい」、自分のことを「理解して欲しい」と願いますが、果たして自分自身が相手の話をきちんと聞いたり、相手のことを理解しようとしたりしているでしょうか。そんな問いかけをしながら、活動がスタートしました。

11期生が入学してから10日ほどたった頃に実施した合宿だったため、同じクラスの仲間とはなんとか話しをしていたものの、別のクラスの子達の名前をまだ知らなかったり、話をしたことがない子がいたりといった状態でのオリエンテーション。まずはリラックスするために、上手に呼吸をし、落ち着ける呼吸法を体験。簡単な呼吸法としては、4秒かけて鼻から息を吸い、4秒かけて鼻から吐く、といったようなものがあります。(日頃、無意識に呼吸をしているわけですが、意識をしてみると、自分の呼吸がいかに浅いのかに気づきます。普段意識しない呼吸に注意して、毎日5分間だけでも呼吸法をしてみてください。頭がすっきりするのを感じられると思います。おススメです)。その後、何度もグループを変えながら、様々な形のピアサポートのアクティビティに挑戦しました。

「ピアサポート」という言葉を初めて目にされた方もいるかもしれません。「ピア(peer)は英語で「仲間」「同等の人」「対等者」といった意味で、同じ境遇の人達がお互いを助け合い、問題解決をしていくことが「ピアサポート」です。今回の合宿のように、学校などの集団において、「仲間作り」の手段としても用いられますし、「クリティカルシンキング」など、考え方や社会で生活するのに必要なスキルなどを身につける目的でも用いられています。今回は、出来るだけたくさんの人の話を聞き、また自分のことを話すことができるアクティビティと、初めて(に近い)相手とでも協力して何かを達成することを体験できるプログラムを重点的に取り入れました。合宿前は、「違うクラスの子達とも仲良くできるかな?」と心配する声も聞かれましたが、プログラムが始まると、生徒全員ノリノリで、笑顔が爆発していました。

聖隷クリストファー中・高等学校

実際に参加した生徒の感想を、いくつかご紹介させていただきます。

「今回学んだのは、協力する大切さです。みんな新しい仲間だけれど、一人ひとりが協力することで、仲間全員が楽しむことができると感じました。これからの学校生活では新しい仲間と絆を深めながら、協力して、授業や行事に取り組んでいきたいです。」

「今回の活動を通して、今までよりも多くの人と話したり、協力して活動したりすることが出来ました。今回の合宿はとても短い期間だったけれど、同級生との仲を深めることが出来ました。これからもこの合宿で学んだ事を活かしながら6年間過ごしていきたいです。」

「今まで、趣味が合う人としか話そうとしていなかったけれど、今回の活動を通して、趣味が合う、合わないは関係なく、まず話しかけてみることが大切だと分かりました。趣味が合わなくても、仲良くすることも友達関係を作ることも、できると気づきました。」

「今回は、仲間との接し方などを学びました。今までは、決まった子達と過ごしていたけれど、今回の活動を通して、話したことのなかった人たちとも接して、名前を覚えることが出来、楽しむことが出来ました。これからも、いっそうたくさんの人と仲を深めていきたいです。」

「今回の合宿では、『5分前行動』や『相手の目を見て耳と心で聞く』など、学校生活以外でも大切な事をたくさん学びました。同級生だけでなく、先生方や先輩方と関わる時にも、今回学んだ事を大切にし、いかしていきたいです。」

「友達づくりの大切さを学べました。決まった人とだけでなく、初めて話す人と活動することで、新しい発見や気づきがあったように思います。今回の活動を通して、新しく友達を作ることができ、話してみたいと思っていた人と話すことが出来ました。今回学んだこと、思ったことを、これからたくさんある「新しい出会いの場」で活かしていきたいと思います。」

聖隷クリストファー中・高等学校

今回のオリエンテーション合宿で、生徒達はそれぞれ様々な発見をし、成長してくれました。出身小学校もバラバラですので、入学前は「ちゃんと友達ができるだろうか」「周りに自分は受け入れてもらえるだろうか」「6年間やっていけるか」と少なからず不安な気持ちを持っていたはずです。しかし、今回のピアサポート活動とオリエンテーション合宿全体を通して、仲間作りの基礎を造ることができました。それぞれの個性を尊重しながら、1つの大きな力を持つ集団をこれから作っていくことでしょう。これからの生徒個人と、集団としての11期生の成長がとても楽しみです。

6月8日(土)は聖隷祭(本校文化祭)の外部公開日です。高校生は在校生からの招待券が必要ですが、小学生と中学生そしてその保護者の皆様は、招待券なしで入場が可能です。中学生も高校生も工夫を凝らしたクラス展を毎年作ります。是非、足をお運びください。

次回は、聖隷祭の様子をお伝えしたいと思います。

聖隷クリストファー中・高等学校 聖隷クリストファー中・高等学校

関連記事