親は“縦”目線
指導者は“横”目線

新チームになりワンクール(三ヶ月)が経過した。
新人戦の地区予選も終わり、十分な結果がでたチームがある一方、思うような結果が出なかったチームもある。結果がでたチームはいいだろうが、結果がでなかったチームに関しては徐々に“歪み”のようなモノが出始める時期かも知れない。
そしてその多くは、指導者に対する“疑心暗鬼”なのではないかと思う。
指導者というか監督には、大きく分けてふたつのタイプがあると思う。
ひとつは、「部活のことはお任せください。毎日子供たちに寄り添い、練習を見ているのは我々です。だから親御さんは口を出さないでください。遠くでそっと見守っていてください」という“任せろ”タイプ。
もうひとつは、「チームは現在こういう状況です。今後はこのような形で進めていきます。お子さんの課題はこれです。ここが直れば戦力として活躍してくれるはずです」と父兄に説明しながら進めるタイプ。
さらには、父兄にもふたつのタイプがある。
「預けた以上子供はお任せします。煮るなり焼くなり好きにしてください」という人と、常に子供たちのそばに寄り添い、声を掛け、指導者とも積極的にコミュニケーションを図るタイプの人。
これらについてはどれが正しく、それだダメということではない。全てが正しいと思う。
先日ある大会の決勝戦を取材した時のことだが、この両タイプの父母会長に出くわした。
片方のチームの会長はお任せタイプ。
指導者だけでなく、子供たちとも少し距離をとり、ちょっと引いた所から見守っていた。
もうひとつのチームの会長は子供に寄り添うタイプ。
試合開始直前まで子供たちに声を掛け、和やかな雰囲気を作りだしていた。
見るからにどちらも好チーム。ともに正解だ、と改めて感じた場面である。
指導者については、傾向として強豪校には、“全てお任せください”というタイプが多く、人数が少なく、それほど強豪ではないチームに説明してくれるタイプが多い。
どちらのタイプも“子供の成長のため”を第一に考えてくれていれば、ともに正解となる。
ただ、みんな正解なのに“歪み”が生じる。
その原因は子供に対する見方の相違。
親は子供を“縦”に見る。ヨチヨチ歩きだった子がボールを持ち、数メートルしか投げられなかったのが、数十メートルも投げられるようになる。バットにかすりもしなかった子が、外野の頭を越えられるようになる。生まれた時からの成長過程を知っているから「ウチの子は上手になった」と思う。
一方の指導者は子供を“横”に見る。幼少期からの成長など知らない。同級生、チームメイトと比べてどうなのか。その一点に尽きる。
この見方の違いこそがチームに歪みが生じる原因なのだと思う。
スポーツとは、選手、環境(指導者)、サポーター(親)が三位一体となって成果が表れる。
当然歪みが解消されなければ結果など出ない。
どう解消するか。
それはそれぞれがその線をできるだけ太くすること。
親、指導者それぞれが、縦に伸びた線、横に伸びた線をできるだけ太く、正方形に近づけていけばいい。
しかしそれを指導者が全ての親に対して行うのは無理。
大事なのは父母会長となる。
父母会長が自身の縦線をできるだけ太くし、指導者の横線とシンクロさせれば、きっとそのチームから歪みはなくなるはず。
「親のせいでチームがガタガタ」。
そんな親にはなりたくないと思う今日この頃である。
関連記事
PICKUP
-
「ボクシングを始めてから、いろいろなことに立ち向かえるようになりました」と岡田くんが話すように、少しずつ自分が変わっていることを実感している。何かに打ち克つために、何かを守るために、人は強くなっていける。痛みを知っているからこそ、人は優しくなれる。その他ジュニアアスリート浜松
-
東海大会3連覇を果たし、悲願の全国優勝を目指す。卓球ジュニアアスリート浜松
-
それぞれが自己ベストを更新し、県での男女総合連覇を狙う。水泳ジュニアアスリート浜松
-
今季最初の大会となった浜松地区新人戦ではベスト8に進出。まずまずの船出となった。続く西部新人では、準決勝で昨年日本一の浜松修学舎中学校に敗れるも3位。県大会への出場権を掴んだ。バレーボールジュニアアスリート浜松
-
3年ぶりの全国へ。全国ベスト4を目指す。バレーボールジュニアアスリート浜松