大切なのは「子供たちが選べる環境。「スポーツを楽しむ」ことに主眼を置くのであれば、自身の目標やレベルに応じてチームを選べて然るべき。となれば、さまざまなチームがあって然るべき。指導方針や指導方法を明確にし、選ばれることが重要となる。「子供たちに何を提供できるのか」。そこに大人の事情はいらない。

編集長のひとりごと

中体連夏季大会が終わった。今年は例年にも増して、浜松勢の活躍が目立った年だった。

特に団体種目。男子バスケットボールでは、小学校時代にも全国を経験した選手が数多くいる与進中学校が3年ぶりに全国大会へ出場。女子では浜松開誠館中学校が4年ぶりに全国へ進んだ。卓球では、常勝の浜松修学舎中学校のほか、男子では舞阪中学校が、女子では雄踏中学校が全国大会へ出場した。野球では開誠館中が全国へ進出。全力でプレーする姿、最後まで諦めない姿勢は、まさに「応援されるチーム」だった。男子バレーボールでは高台中学校が大躍進。全国という舞台で有終の美を飾った。一方、修学舎中は今年も強かった。東海大会で優勝を飾り全国を決めると、そのままの勢いで予選リーグも突破。全国ベスト8に辿り着いた。女子では西遠女子学園中学校が2年連続で全国へ。今年も「声と笑顔の全力バレー」は健在だった。そして圧巻だったのがソフトボールの浜北北部中学校。クラブチームが数多く出場する中、次々と撃破し県大会優勝。東海大会では決勝戦で6校合同チームに敗れたものの、見事全国大会へ。全国大会でも、合同チーム、クラブチームを倒し、準決勝へ進出。準決勝では優勝したチームに敗れたものの、全国ベスト4という、あまりにも輝かしい成績を残した。この他にも、団体戦(1枠)・個人戦(2枠)の全国出場枠を独占した丸塚中学校剣道部男子や、全国5位という成績を上げた阿部意さん(浜松南部中学校)など、個人種目でも多くの選手が全国の舞台に立った。地元民として、実に誇らしく、多くの感動と勇気をもらった。そんな部活動も新たな時代へと突入する。

浜松市では来年(令和8年)9月から、週末の部活動を「地域クラブ活動」へと移行する。

詳しい発表は10月以降になるようだが、平日は部活動、週末は地域クラブ活動となることが既定路線のようだ。「中学部活動がなくなる」と思われる親御さんもいるようだが、これを見る限り、子供たちは部活動を選んでも、継続して活動できる。

ただ、課題もある。一つは週末の指導者問題。現在、週末地域移行に先立ち、野球部に関しては、教員が中心となり、地域クラブの母体が誕生。11月下旬には交流大会の開催も予定されている。これをモデルケースに、他競技でも教員主導型の地域移行が行われることが期待されている。しかしここで出てきた問題が一つ。大人たちの足の引っ張り合い。他のチームに対してネガティブな情報を流布したり、子供たちの引き抜き的なことも発生。「一体、誰れのための地域移行なのだ」と言いたくなる。そもそも、今回の週末地域移行は子供たちのため。少子化、競技人口の低下により、「やりたくてもやれない」子供たちに競技機会を与えるための改革のはず。その副産物として、教員の働き方改革がある。それだけは忘れたくない。

大切なのは「子供たちが選べる環境。「スポーツを楽しむ」ことに主眼を置くのであれば、自身の目標やレベルに応じてチームを選べて然るべき。となれば、さまざまなチームがあって然るべき。指導方針や指導方法を明確にし、選ばれることが重要となる。「子供たちに何を提供できるのか」。そこに大人の事情はいらない。


 

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