「目的さえ見失わなければ、どんな普通の練習でもハイレベルなものになりえる」(本田圭佑)。なのである。

編集長のひとりごと

新人戦の地区大会および西部大会が終わった。先のステージに進ことができたチームもあれば、思うような結果が出なかったチームもあるだろう。どちらにせよ、チームは始まったばかり。これからの取り組みが重要となることは言うまでもない。

一部の競技では次なる大会が始まっている。その組み合わせを見てよくあるのが、「あそこのチームとは練習試合をやって勝ってるから勝てる」的な話。「練習試合ってそんなに重要?」って思いながら聞いている。  そもそも、チームづくりをしっかりと考えている監督ほど、練習試合では結果ではなく、課題を与えて臨むことが多い。多いというかほとんど。特にこの時期の練習試合は「課題を明確にすること」に重きを置く。さすれば、当然ながら結果はさほど重要ではない。先日、高校野球を観たのだが、ピッチャーには「ストレート縛り」があった。そのチームは試合には敗れたが、監督は結果にさほどこだわってなかったようで、むしろ冬に取り組むべきことが明確になり、晴れやかな表情をしていた。親御さんは部活動もエンターテイメントの一種として捉えがちだが、あくまで人間教育の一環。日々努力を重ね、夏にチームの最高を目指すのが部活動。ただ、父母会とかで呑んでいる場合は、こんな話も楽しい。状況を理解した上で話していると思いたい。

新チームが発足されたばかりの中学生に対して、小学校では最後となる大会が始まっている。小学校時代に最も結果を残したい大会だ。そんな中、ある指導者と話をする機会があった。その人は、「親御さんは結果とともに技術を求めるが、多くの場合、小学生の時に身に付く技術には限度がある。だから我々は、少しでも多くの子供たちが、さらに技術が身に付けられる上のステージへ送ることが、本当の最終目標なんです」と話した。

スポーツの結果は成功体験に繋がりやすい。成功体験は、子供たちが自己肯定感を持つための火種となる。しかしながらそれは「勝利という結果」だけではない。今までできなかったことができるようになった、これまでにないほど思い切ってプレーできた、それも紛れもない結果であり成功体験だ。それを火種とするのは指導者であり親の役目。見逃さないようにしたいものである。

さて冬が来る。夏にそれぞれが結果を残すために、最も大事な期間である冬だ。この時期の過ごし方が間違いなく夏の結果を左右する。選手のみんなには、トレーニングの意味をぜひ考えてほしい。最近はユーチューブなどで最先端の指導だったり、一風変わったトレーニングを誰でも視聴することができる。そんなトレーニングは新鮮に映るし、何となくだが効果もありそうだ。もちろん、新しいことを取り入れるのは悪いことではない。自主練でぜひチャレンジしてほしい。ただ、チームの練習メニューについては指導者の方々に任せよう。日々、みんなを見ている中で必要だと思ったことがメニューになる。大事なことは「なぜこのトレーニングをやるのか」と自分なりに考えること。考えて取り組むのと、何も考えずにこなすのでは、天と地ほどの開きがある。自ら考えることこそが、目的を達成する一番の近道になりえる。

「目的さえ見失わなければ、どんな普通の練習でもハイレベルなものになりえる」(本田圭佑)。なのである。

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