本人たちはこの敗戦をどう感じて、どう思っているのだろうか…
11月28日。
この日は新人戦の初戦「引佐ドリームジュニア」との対戦。
“コウタ世代”になってはじめての公式戦だ。
コウタは何日も前からこの日をとても楽しみにしていた。
この日に向けて毎日練習もがんばっていた。
しかし気になることがあった。
「2回戦は細江だって。今度は絶対勝ちたい!」
とコウタが言っていた言葉だ。
「初戦は引佐でしょ?細江のことは引佐に勝ってからじゃない?」
コウタに聞くと
「引佐には勝てるよ!だって練習試合で勝ったから!」
1回勝ったからってまた勝てるとは限らない。そもそも勝ったのは練習試合だ。公式戦とは全くの別物。
自分の経験上、こういう気持ちで試合に挑んでいい結果が出ることはない。
“一戦必勝!”
大事なことが欠けているような気がしていた。
AM9:00
プレイボール!
フレンズの攻撃から試合がはじまった。
(この時からいつもと違う雰囲気。緊張しすぎているのか、それとも気負っているのか…)
引佐の先発ピッチャーは右の本格派で、投球フォームが実にしなやか。コントロールも良さそうで、フォアボールはあまり期待できそうもない。
序盤は両チームともピッチャーが好投し、得点が入るどころかランナーすら出せない。
この日は「5番ファースト」のコウタ。チームの雰囲気がおかしいのに気が付いたのか、懸命にみんなに声を掛けるが、コウタ自身も試合に入り込めていない…
試合は突然動いた。
ツーアウトながらランナーを3塁に進めた引佐。
次のバッターの打球は“ぼてぼて”の内野ゴロ。
「捕ってファースト、チェンジ」のはずが、捕ってバックホーム…
痛恨のフィルダースチョイス!
引佐が先制した。
これは個人的なミスではなくチームのミス。
みんなで声を出して、ゴロを捕ったらどうするかをしっかり確認していれば防げた失点。
「どうせ自分の所にはこないだろう」と思って守っているからこういうミスが生まれる。
気持ちが試合に入っていれば、各々がもっと声を掛け合っていたはずだ。
チーム全体が集中していない。
このミスにより好投していたエースのサトシの集中も切れた。
当然流れは一気に引佐に傾く。
このミスに乗じて得点を重ねていく。
結果は0-6の完封負け。しかもヒットは1本のみ。完全なる負け。
目の前の試合に集中できなかった代償は“1回戦敗退”。
全くいい所がなかった。
目一杯やって負けるのなら得るものもあるのだろうが、この日の負け方からは何も得られない。
“イチからの出直し”
常に相手に敬意を払い、最大限で取り組むことができないのであればスポーツをする資格はない。
本人たちはこの敗戦をどう感じて、どう思っているのだろうか…