「生き抜く力」を持つために。

編集長のひとりごと

10月下旬から11月中旬にかけて、さまざまな中学校で「職業講話」を段取りさせていただいた。これまでは担当の先生が、一社一社電話をかけて、「やっていただけますか?」とお伺いをたてていたという。多大な負担となっていたことは想像し難い。

そこで今回は、弊社が行っている学校サポートプログラム「つながるプロジェクト」の一環として、中学校の職業講話のお手伝いをさせていただいた。担当の先生のすることは「ジュニアアスリートに日時と人数を伝えること」のみ。多少講師集めに時間をいただいたが、多様な企業を職業講話の講師として送ることができた。せっかくの職業講話。単なるイベントにしたくなかったこともあり、事前学習から講話の受講、そして振り返り学習まで、一貫した簡単なマニュアルとフォームを用意させていただき、多くの学校で利用いただけた。振り返り学習で実施された講師へのお礼および感想文を拝見すると、我々が想像もしなかったような、思いがけない箇所に感銘を受けてくれていた生徒も多く、改めて子供たちの可能性に気付かされた。講師を務めていただいた企業の皆さんも、自らの会社のことを改めて考える機会になったようで、講師の皆さんも気付きを得るきっかけのひとつになったと聞き、内心「ほっ」としている。

子供たちを取り巻く環境は、我々の時と比べて大きく変化している。日本は人口減少に歯止めが掛からないにも関わらず、世界は人口爆発の真っ直中。人口増をベースに形成されてきた日本の産業は、もはや世界トップではない。この先もトップになることはないだろう。「大企業なら安泰」という我々の時代も昔話。今ある仕事も6割以上がなくなると言われている。その一方で、これまでなかった新しい仕事が一気に増えるらしい。我々の経験則はもはや通用しないと言ってもいい。

これまでは子供の教育に関して、ほとんど全てを学校に任せてきた。しかしながら、現在進められている教育改革の柱となっているのは「生き抜く力」。新たな時代を生き抜く力を持った若者の育成が教育現場での優先事項になっている。現場の先生たちは新たな指導方法を模索しながら子供たちを指導してくれている。がしかし、もはやそれだけでは足りない。子供たちが生き抜く力を手にするためには、地域の企業のサポートが間違いなく必要となっている。「地域の子供は地域で育てる」時代になったということだ。

大都市部では、民間企業が学校教育に参画する団体が数多く存在する。そこでは、子供たちの好奇心や知的欲求を刺激する授業が数多く展開されており、「自ら学ぶ」子供たちが日々増えている。地方はどうかというと、その類の団体はほとんどない。この先、都市部と地方の教育格差はますます開いていくことが予想される。

さらにここ浜松市では、若者の市外流出が大きな問題のひとつになっている。流出の主な理由は「浜松に働きたい会社がないから」。就活時にいくらアピールしようが若者には届かない。もっと前から職業感を持ってもらうための仕掛けが必要だと感じる。

もはや我々の経験則は通用しない。しかしながら、経験を伝えることは、“新たな何か”が生まれるためのヒントになるはず。子供たちの幸せのために何ができるのか。さらに皆さんと一緒に考えていきたい。

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