成長するための“鍵”。

編集長のひとりごと

今回号は『2019中体連総括。』と題して、この夏の夏季大会の結果を掲載した。今年はサッカーやバスケットボール、卓球にくわえ、バレーボール、野球、ソフトテニスと、多くの団体競技で浜松勢が躍動した。子供たちが一生懸命取り組んだ証であることはもちろんだが、指導者、保護者を含めたチーム全体で勝ち取った結果であろう。携わった全ての方々に賞賛を送りたい。

部活を引退した3年生は、高校までの約半年間をどのように過ごしているだろうか。受験勉強に勤しむことがもちろん第一だが、高校でも競技を続け、活躍を願うのであれば、競技者として、この半年間の過ごし方も重要になってくるように思う。

この秋から、浜松では、部活の顧問の先生が中心となり、ふたつのスポーツ教室が開講した。ひとつ目は野球。野球の場合、中学の部活と高校の部活では大きな変化がある。ボールだ。中学では軟式球を使うが、高校では硬い硬式球。バウンドの仕方も変われば、ボールの飛び方も大きく違う。打ち方も変わるようで、慣れるまでに時間が掛かると言われている。もちろん恐怖心も克服しなければならない。それに慣れるための期間として開講された。部活の活動時間制限の解消のために現役選手も軟式球を使って練習を行うようだが、高校への橋渡しとしての役割は非常に大きいように思う。

もうひとつはバレーボール。こちらは完全に引退した中学3年生のみを対象としており、高校で活躍するため、最新の指導方法を用いて、基礎から見直すことに重きを置いている。ジュニアアスリートwebで告知を手伝った経緯もあり、気になって練習を見に行った。会場となっている入野中学校体育館には20名ほどの子供たちが参加しており、錚々たる顔ぶれが並んでいた。練習は柔軟性を意識したアップから始まり、続いてボールを使う練習へ。手の使い方、体の動かし方、その理由を細かく説明した上で、子供たちが実践。それを見ながら先生たちが個々に指導を行っていた。すぐさま気が付いたのは、数年前と指導方法というか、“バレーの常識”と言われていたことが大きく変わっていたことだった。昨年まで娘がバレーボールをやっていたこともあり、数多くのバレーの大会に観戦に行った。そこで目にしたのは多くの怪我人。どの大会でも、松葉杖を付く選手を多く見かけた。「バレーに怪我は付き物」などと思ったりもしていた。しかしこの教室は違った。怪我の要因は体の使い方にあると考え、手の向き、足の向きなどから徹底的に改善。効率的にプレーができるように指導が行われていた。その内容はこれまで聞いていたモノとは大きく異なるうえ、全てに解説付き。始めて聞く指導に子供たちは目をキラキラさせていた。

今、部活を取り巻く環境、スポーツ全体が大きく変わろうとしている。その中心にあるのは“科学的根拠”。根性でスポーツをやっていた時代は終わろうとしている。指導者に求められるのは、これまでの常識を疑い、科学的根拠に基づいた指導方法。常に学び、新しいモノを取り入れる勇気が求められる。ただそれは、高校の3年間(実質は2年間)ではどうにもならない。もっと下のカテゴリーから行われるべき指導のようにも思う。そして選手も変わらなければならない。

これから求められるのは“知識”。「なぜこれが必要か?」を自らが考えることが、大きな成長を遂げるための鍵となる。

ジョイントプラクティスバレーボール教室 設置箇所 聖隷クリストファー中・高等学校

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