動体視力ってなに?

運動能力覚醒講座

スポーツを行う上でよく「動体視力が良い」と言われます。特に、野球やテニスなど、ボールが速く動く球技で使われます。では、この「動体視力」とは何なのでしょうか?

実は、動体視力には 種類あり、「KVA動体視力」と「DVA動体視力」に分類されています。ふたつとも速く動くもの(野球ではボール)に対して、しっかりと眼の焦点を合わせる能力です。ただ、見たいものの動く方向が違うだけです。

KVA動体視力は、遠くから自分に対して向かってくる視対象を見る能力(野球のバッターなどに必要な能力)、DVA動体視力は、横方向に動くものを見る能力(サッカーや卓球など斜めにも速くボールが動く競技に必要な能力)となります。

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この動体視力は、ジュニアアスリートである小学生の時期に発達しやすくなります。図1のグラフは、加齢に伴う動体視力の発達を表しています。5から10歳頃に動体視力の能力は急激に発達します。中学生でも、この能力は向上しますが、小学生の時期よりも発達過程は緩やかになります。

動体視力を良くするためには、眼球を速く動かす必要があります。この眼球は、眼球を動かす筋肉によって、見たい方向に向きを変えており、眼球を速く動かすには、この筋肉の働きが重要になります。つまり、動体視力を鍛えることは、眼球を動かす筋肉を鍛えることなのです。運動能力を上げるために筋トレを行うように、眼の筋トレを行うと、速いボールもはっきりと見えてくるのです。トレーニング例を左に示していますので、ぜひ実践してみてください。

これまで村田厚生先生と杉足昌樹先生が行った研究では、野球の打撃評価が高い選手は、低い選手より、KVA動体視力の成績が統計的に有意に高いことを報告しています。このように、競技力の高い競技者は、動体視力が良いことがわかっています。この動体視力は、トレーニングすることでその能力を向上させることができます。前田明先生らの研究では、野球でバッターボックスから超速球ボールを見るだけで、KVA動体視力が向上する傾向があることを報告しています。

ぜひ、皆様も動体視力を向上させることで、競技成績の向上を目指しましょう。

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nakaduka
中塚英弥さん(なかつかひでや)
科学的なデータと知識を活かして、パフォーマンス向上をサポートする、アローズラボ研究員。

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