親として成長できた三年間になっただろうか。子供が小学生の頃は自分の子供しか見ていなかったかもしれない。しかし、この三年間でチーム全体を応援できる親になったはず。子供とともに一日一日を積み重ね、子供の目標に向かう努力を見守り、与えられた自分の役割を全うし、子供が自慢できる親になったはず。チームや指導者に対する不満を口にする親にはなっていないはず。子供だけではなく、親も一緒に成長することは必然である。

中体連浜松地区大会が終わった。今年は例年にも増して猛暑。室内外競技問わず、とにかく暑かった。暑さ対策として水分補給タイムが設けられるなどさまざまな工夫も見られた。応援する父兄も、冷やしたタオルを首に巻いたり、テントを設営したり、さらには扇風機を持ち込むなど、こちらもさまざまな工夫が施されていた。中学三年生にとって中学生活最後の夏。プレーする選手、応援する父兄の熱さは今年も健在だった。
大会はというと、新人戦に続き好成績を残したチームもあれば、ノーシードから勝ち上がったチームもあった。もちろん、望むような結果が得られなかったチームもあるが、これはあくまで結果。これまで積み上げてきた研鑽の日々が損なわれることはない。中学部活動が成功だっかたどうかは、これまでの過程にある。一日一日を一生懸命取り組めたか、目標に向かって努力を続けることができたか、目の前にある自分の役割をしっかりやり切ることができたか。過程こそが何よりも重要なのだ。
一番いいのは努力が結果として表れること。次にいいのは努力したが思うような結果が出なかったこと。最悪なのは努力をしていないが結果だけ出たこと。大事なことを見誤りたくないものである。
親御さんはどうだろう。親として成長できた三年間になっただろうか。子供が小学生の頃は自分の子供しか見ていなかったかもしれない。しかし、この三年間でチーム全体を応援できる親になったはず。子供とともに一日一日を積み重ね、子供の目標に向かう努力を見守り、与えられた自分の役割を全うし、子供が自慢できる親になったはず。チームや指導者に対する不満を口にする親にはなっていないはず。子供だけではなく、親も一緒に成長することは必然である。
ここから先は新たに「高校受験」へと向かうことになる。「将来を見据えて高校選びを」と言うが、中学三年生の時点で、将来を明確に見据えている子供は稀。成績を鑑みて、「行ける高校を探す」と言う作業になることが多い。「少しでも偏差値の高い高校へ」と塾通いを始める子供も多いが、目標が明確でなければその効果は薄い。「行きたい高校を決める」ことが最初の目標となる。
ただここで気を付けたいのは「高校へ入学して終わり」ではないこと。「どこに行くかよりも、そこで何をするか」の方が遥かに重要。子供たちだけではなく、親御さんたちも頭の片隅にでもいいので、置いておいてほしい言葉である。
そしてもうひとつ。「裁量枠制度」について。中学での活躍が目に留まり、高校から裁量枠での入学の話が来る子もいるだろう。親御さんからも「ウチの子、裁量枠だから」と話をされることも多い。単なる報告であればいいのだが、「ウチの子、裁量枠なのに使われない」とか、その類の話も耳に入る。多くは運動部に所属する子を持つ親からの話だが、入部後はフラット。体格差もなくなり、新たな競争が待っている。裁量枠は将来を約束されたものではないことを肝に銘じてほしい。やるのは子供。
子供は親のコピーロボットではない。