”考える“こと。

編集長のひとりごと

今回は、『HSKcup(浜松スポーツ交流杯)』の夜の部として行われたパネルディスカッションについて触れたい。ファシリテーターという大役を受け、4名の識者(顔ぶれについては記事内にて)にさまざまな質問をさせていただいた。議題は「いいチーム、いい選手の条件とは」。詳細は割愛するが、注目したのは「知識が大事」という言葉。例えばボール。これまではB球が使われていたが、今はM球に変わった。「硬式野球への移行をスムーズにするため」とは聞いていたが、その違いは正直な所、曖昧だった。現場の声を聞いてみても、「少し飛ぶようになったかな」程度だった。それがこの日、明確な答えを聞くことになる。B球は直径70cm、重さ135g、硬式球は直径73cm、重さ141g。大きさは3cm違い、重さは6gも違う。この差により、「軟式と硬式では打ち方が異なる」と言われてきた。中学を軟式で過ごした選手が、高校の硬式で苦労する原因のひとつともされてきた。ではM球となりどう変わったのか。M球の大きさは72cm、重さは138g。硬式球と比べると、大きさでは“わずか”1cm、重さでも“わずか”3gしか違わない。この“わずか”な差になったことで「軟式の打ち方が変わった」のだと言う。要するに、「軟式でも硬式と同じ打ち方でいい」ということだ。素人なので細かい技術のことは分からないが、この事実を認識している指導者や選手はどれだけいるだろうか。これを知っているだけで、練習方法は大きく変わるはず。あくまで一例だが、子供の成長を考えると、やはり知識は大事だということになる。さらに、知識には“考えること”も含まれるという。例えばトレーニング。何気なく行うのではなく、どこの部位を意識するのか、何のためにやっているのかなどを自らが考えることが必要だと言う。長時間練習ができる時代は終わり、短い時間で効率よく練習を行う時代となった。考えて取り組む選手とそうでない選手とでは大きな差が生じる時代になったとも言える。「考えて取り組む」。それがいい選手の条件と言えるかもしれない。

「子供の成長スピードに応じ、カテゴリー分けした練習を」という話もあった。通常、練習は全体で行う。無論、学年別に行うこともあるとは思うが、基本的にはみんなが同じ練習を、同じ強度で行う。しかしながら、子供の成長スピードには個人差があるため、それぞれの成長に合わせたメニューを行うほうがレベルアップに繋がるという。よく耳にする「いつから筋トレはやっていいの」というのもこのひとつ。ある雑誌で見たのだが、成長期には4段階あるらしい。2歳頃から身長が急激に伸びだし、小学校中学年くらいで一旦落ち着く。このタイミングが第1段階。瞬発系が伸びる時期と言われ、さまざまな基本的運動スキルが伸びる時期。中学に入ると再び身長が伸び始める。ここが第2段階。筋骨格、臓器が発達するこの時期は持久系トレーニングを多く取り入れる必要がある。そして身長の伸び方が鈍化する中学3年くらいが第3段階。このタイミングで力強さが身に付くため、ウエイトトレーニングを始めるといいらしい。目安となるのは身長の伸び具合。当然ながら個人差がある。可能であれば、学年ではなく、成長段階に分けてメニューを変えるのもいいかもしれない。

いずれにしても、「知識=いい選手」であるのならば、全ての選手に“いい選手になるチャンス”がある。

設置箇所 トライプラス根上り松校 とんきい

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