[第13話] “復活”への大きな一歩!
10月13日。
今日は検診日。
予定では「OK」が出るはずの日だ。
仮に「OK」が出なかった場合、さらに2週間も様子を見ることになる。
診察室に呼ばれる。
こっちだけではない。
コウタにも緊張が走る。
硬い表情のままレントゲン室へと入り撮影。
しばし待たされる。
そしていよいよ“最後となるはず”のレントゲンチェック。
診断室に入ると、先生のパソコンの画面に写真が映し出されていた。
「うん、どこが折れたか分からないくらいキレイに治ってるネ!」
コウタの顔に笑顔が戻る。
「野球はやっていいですか?」
「もちろん思い切りやっていいよ!」
事故から53日目。待望の「OK」が出た!
しかし大変なのはこれから。
なにせ両腕ギブスだったため、両腕とも“メッキリ”細くなっている。
以前のようにバットを振ったりできないだろうし、ボールを強く投げることもできないだろう。長距離を走る体力もなくなっているだろう。
すごろくでいうところの“振り出しに戻る”だ。
そして一番の気がかりは“心の問題”。
常にやる気を持って野球に取り組んできたが、怪我をしている間に“張り詰めて”いたモノが切れてしまっている可能性がある。物事は“いやいや”取り組んでも上達はしない。
再び“前向き”に取り組んでいく必要があるはず。
果たしてコウタは大丈夫だろうか?
こればかりは親はどうすることもできない。
コウタ自身が乗り越えなければならない問題だ。
“試練はそれを乗り越えられる人にしか降りかからない”
コウタが試されるのはこれから。
それでもこの日の診断結果は、復活に向けた大きな一歩になったはず。
再びグランドに立つ日まで見守り続けたい。
コウタが頑張ることを信じて。