子供とともに成長すべきは親。

編集長のひとりごと

新チームとなって最初の大会となる新人戦が終わった。思い通りの結果が出たチーム、日頃の成果が発揮できなかったチーム、それぞれのチームごとにさまざまな想いがあることだろう。ただこれは一年の始まり。歓喜の夏にするため、この冬の過ごし方が大切になる。何となく過ごすのか、それとも成長するための“何か”に取り組むのか。その差は果てしなく大きい。

「努力して結果が出ると自信になる。努力せず結果が出ると、傲(おご)りになる。努力せず結果も出ないと、後悔が残る。努力して結果が出ないとしても、経験が残る」

後悔することのない冬を過ごしてほしい。

この冬の間に変わりたいのは子供だけではない。親も変わるべきだと思う。
取材を含め、この秋には、多くの競技、さまざまな大会を観させてもらった。子供たちは勝利に向かって必死に戦っており、心打つ試合も数多くあった。名門チームに正面からぶつかり、勝利をもぎ取ったチーム、エースを怪我で欠くも、代役の主将が鬼気迫る快投を見せたチーム、前評判通りの強さを見せつけたチーム。それぞれに大きな感動があった。

一方で、別のことが気になった試合もあった。それは親の声援、というか罵声。
以前にもこのテーマを取り上げたことがあったが、やはり気になってしまう。「何やってるだぁ!」に始まり、「もっと強気で行けぇや」と言ったと思ったら、すぐさま「もっと慎重に!」。挙げ句の果てには、「集中だぁ!」と大声で叫ぶ。「その声で集中できないのでは」などと思ったりする。そしてその罵声は、自分の子供とおぼしきひとりに投げかけられる。それぞれの親が自分の子供に投げかける。あからさまに子供たちの表情が曇りだす。

プレーの質も低下しだし、結果として負ける。すると親たちは口々に、「何でこんなチームに負けるだぁ」と言い出す。さらには烏合の衆となり、分かりもしないのに、監督の戦術や起用法について文句を言い始める。「アンタらのせいだよ!」とでも言いたくなる。この手の声援(罵声)には傾向があり、上位進出する強豪チームに多い。もちろん全てではないし、取材するのはトーナメントの最終日が多いこともあるため、強豪とは呼べないチームにも存在するのかもしれないが、そう感じる。たぶん、勝利至上主義というか絶対勝利主義に親が陥っているため、そうなるのではないだろうか。

偉そうに言ってはいるが、子供が強豪チームに所属していためか、かつては同じようなことをしていた。「ここ一本!」とか、「集中!」とか、子供の緊張を増幅させるような言葉を発していた。あまりのプレーの低調さに応援せず、ずっと怪訝な顔をして、負けを見届けたこともある。しかしある時気付いた。「子供の足を引っ張っている」と。応援しているつもりだったが、気付けば監督気取りで、分かった風でいるただの“クソ親”になっていた。

練習を頑張ったのも、試合で勝ちたいのも、親ではなく子供。断じて親ではない。子供の目標達成のための過程をサポートするのが親の役目であり、子供の背中を押すための応援をするのが親の役割だ。自分の子供にだけ厳しい言葉を投げかけ格好いいと思っている親もいるが、それも違う。徹底して前向きな言葉を探し、それを子供に投げかけるべきだ。親は努力をしていないのに、子供が結果を出すと、親が傲る。親はサポートという努力をすること。それが親としての自信となり、「経験」として残るのだ。

発行情報 制服のワタナベ フェスモーチェ浜松

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